日本司法書士連合会(日司連)による債務整理事件の処理に関する指針(抜 粋)
                         (平成21年12月16日 理事会決定)

第3条  基本姿勢=生活再建

債務整理事件の処理にあたっては、依頼者の生活再建を目指すことを常に念頭に置き、必要に応じて行政サービス等を受ける機会を確保するなど、依頼者の生活再建のための方策を講じるものとする。

第4条  広告

債務整理事件に関して、品位又は信用を損なうおそれのある広告宣伝又は有利な結果を保証するような内容の広告宣伝を行ってはならない。

第5条  面談

債務整理事件の依頼を受けるに当たっては、依頼者又はその法定代理人と直接面談して行うものとする。但し、次に掲げる場合等合理的理由の存する場合で面談以外の方法によって依頼者本人であることの確認及びその意向が確認出来る時は、この限りでない。

(1)従前から面識がある場合

(2)依頼者が現に依頼を受け又は受けようとしている者の保証人(連帯保証人を含む。)である場合で、債権者の厳しい取り立てを速やかに中止させる必要があるとき

(3)依頼者が離島などの司法過疎地に居住する場合で、債権者の厳しい取り立てを速やかに中止させる必要があるとき

2 面談においては、負債の状況、資産及び収入の状況並びに生活の状況等の現状を具体的に聴き取 り、依頼者の置かれた状況を十分に把握したうえで、債務整理事件処理及び生活再建の見通しを 説明するものとする。

私の事務所は、平成15年に司法書士が簡裁代理権を取得する以前から、破産申立書の作成等で多重債務の問題に取り組んでまいりました。

その頃は、多重債務を扱う司法書士・弁護士は南大阪地区でも数えるほどしかなく、今のように「多重債務のプロ」「専門家」が林立する状態になるとは思いもよらぬことでした。

このような乱立状態になりましたのは、平成18年に最高裁で債務者側に決定的に有利な判決が出されて以来のことですが、それとともに大切な当たり前のことも忘れ去られてしまったようです。

平成18年の最高裁判決により、貸金業者が「みなし弁済」を主張しても殆ど徒労に終わることになり、過払金返還の交渉等、格段に楽になりました。

それと期を一にして、司法書士に対するあやしげなコンサルタント業が跳梁跋扈し、若手の社会経験の乏しい司法書士や、登記業務で食べられなくなった古参の司法書士に、債務整理はたやすくできるニュービジネスだと説いてまわるようになりました。

曰く、大宣伝でおいしい仕事をかき集め、効率的に儲けろと…。

そのためか、1か月に150万円もする地下鉄広告を始め、ラジオ・テレビ・新聞には司法書士の名が踊り、債務整理の方法の内でも特に過払金請求と任意整理だけを全国対応にしたりしています。

こういう処理で不思議に思うのは、例えば、ある数社には過払金は出るけれど全体的には破産を選択するしかない遠隔地に住む債務者の生活再建はどうなるのでしょうか。また、そもそも、大阪の司法書士が、過払い求めて、北海道の依頼者とどのようにして面談するのでしょうか。(指針第5条)

数十名の事務所の陣容と大量の受注を誇りながら、資格者の数が私の事務所程度しかいなかったり、経済再建には家族の協力が必要な場面があるにも関わらず、家族には秘密厳守と無責任な言葉で集客を図ったり、依頼者そっちのけのあさましい現状がそこにはあります。

実際の事務負担も考えず、量販店よろしくひたすら廉価販売で依頼者を募るような行為は、法律サービス職としてふさわしくありません。とどのつまりそのつけは、依頼者に負わされてしまいます。

私の事務所では、平成18年の最高裁判決を契機として、実際の事務量の減少から減額報酬を廃止し、完済後の過払金返還請求も、着手金なしで受任させていただき、成功報酬も手元に取り戻せた金額の15%まで引き下げています。

ただし、任意整理は、各業者とも経営状態の悪化により、交渉の難しい場面も増えたことから、1社につき一律3万円(税・実費込)はいただいております。

これは、債務整理に限らず、成年後見・簡裁民事案件・離婚・相続など、およそ問題を抱えてこられる依頼者との初回面談において、依頼者の主訴を共感的に傾聴し、信頼関係(ラポール)の形成が何より求められるからです。

ですから、無資格者による事務的な聞き取りなど、もっての外だと考えます。(指針第5条)

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